家具を買ったのに、自分で組み立てる。たこ焼きを注文したのに、自分で焼く。イチゴを食べたいのに、わざわざ農園まで出かけ、自分で摘み取る。
考えてみれば、不思議な商売です。
普通、客はお金を払って、面倒なことを店に任せます。ところが、世の中には、お金を払った客に、あえて手間をかけてもらう商売があります。しかも、それが人気を集めているのです。
自分でつくると、価値が上がる?
家具販売のIKEAでは、自分で組み立てる商品が数多くあります。説明書を読み、ネジを締め、ときには間違えてやり直す。完成品を買うより、ずっと面倒です。
ところが、人間には、自分で手をかけて完成させたものほど、高く評価する傾向があります。心理学では、これを「IKEA効果」と呼びます。
研究では、自分で組み立てた品物に対して、完成品より高い金額を支払ってもよいと評価する傾向が確認されています。ただ、完成できなければ逆効果になることもありますが。
客に仕事をしてもらう
例えば、自分で焼くお好み焼き店。店員が焼いたものを出すほうが楽ですが、自分で生地を流し、ひっくり返し、焼き上げる楽しさがあります。
イチゴ狩りも同様です。スーパーなら買うだけで済みますが、農園では自分で探し、選び、摘み取ります。
これらはIKEA効果そのものではありませんが、客が自ら関わることで、商品への満足感が高まるという点では共通しています。
不便を価値に変える
企業は、客の手間を減らそうと努力します。しかし、すべてを店側が引き受けることが、必ずしも最善とは限りません。
例えば、花屋なら客自身が花を選んで束ねる商品を用意する。菓子店なら、最後の飾り付けを客に任せる。完成品とは別の価値を提供できる可能性があります。
もちろん、面倒なだけでは売れません。自分で手をかけることに楽しさや達成感があることが大切です。
売り手の手間を減らし、買い手の満足を増やす。そんな商売の仕組みもあるのです。
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