句点を使ってはいけないシーン

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句点「。」の脅威

句点「。」は、諸刃の剣です。

使えば読みやすくなりますが、使い所を間違えると信用を損ないます。

例えば、前回に解説したまるハラスメント、通称「まるはら」。

業務テキストで句点「。」を見ると、「冷たい」「距離を感じる」とストレスを抱える人が増えている……という話をしましたが、これも「。」の使い所を間違えた結果の一つです。

しかし、これはあくまで例の一つ。そして、実は句点「。」は、昔から使わない方がいいシーンがありました。その代表例が、挨拶状です。

なぜ、挨拶状で句点「。」は使わない方がいいのか。その理由は諸説あるのですが、一般的に知られているのは、大きく以下の2つです。

①相手に対して失礼と受け取られる場合があるため

句読点はもともと、文章を読みやすくするために使われる記号です。特に読み慣れていない人や、学習中の子どもに向けて補助的に使われてきた背景があります。そのため、挨拶状に句読点が含まれていると、「句読点がないと読めない相手」だと暗に伝えてしまうことになりかねません。

挨拶状は、相手に敬意を表して送る文書です。だからこそ、あえて句読点を使わずに書き進めることで、相手の知性や品位に対する尊重の気持ちを込めるという考え方が根付いているのです。

②「縁を切る」との連想を避けるため

句読点には文章の区切りや一時停止を示す役割がありますが、その「区切る」「切る」といった印象から、「関係が途切れる」「ご縁が切れる」といったマイナスの連想を生むことがあります。特に祝い事や挨拶ごとの文面では、そうした意味合いを避けるため、句読点を使わない書き方が礼儀とされてきました。

相手との関係を丁寧につなぎ、末永いご縁を願う気持ちを込めるからこそ、挨拶状は滑らかな文の流れを保ちつつ、句読点のない文体で綴られるのです。

まとめ

もちろん、挨拶状で句点「。」は絶対に使ってはいけないわけではありません。しかし、日本は伝統を重んじる国です。もし特段に理由がないのなら、メールが主流になり、あまり葉書や手紙などを使うことが減って来たからこそ、挨拶状では句点は使用しない方が無難でしょう。

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